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 社団法人日本工学アカデミーは、我が国の工学及び科学技術全般の発展に寄与することを目的として、これら分野並びにこれらと密接に関連する分野において、顕著な実績と広範な識見を持った指導的立場の会員により結成された、非営利、公益を目的とした民間団体です。

 18世紀の産業革命以来の地球上での人類の活動の展開のほとんどすべては、技術の進歩とこれに伴う生活水準に関連し、日本を含む地球上のすべての国々にとって、技術をぬきにしてその政治も経済も社会も考えられないようになっており、この傾向は益々強くなってきています。

 特に、最近になって、人類による資源の消費と、それに伴う廃棄物の発生が、人口の増加と相まって地球の容量に比べて無視できないレベルに到達する一方、輸送、通信手段の進歩は、人、物、金、情報の国際間移動を大幅に増加させ、世界中の国々が調和のとれた行動をとることが、わが国はもとより、人類全体の将来のために不可欠になってまいりました。

 このような時代に、国としてとるべき政策について、全国民、全人類の立場にたって技術的、工学的側面から、海外の志を同じくする団体とも協力しつつ、客観的、建設的な発言をしていくことは、わが国の工学界のリーダーが負うべき義務と考えられます。また、民主主義国家として、国の政策は、国民の大多数の理解と支持の上に実施されるべきことは当然ですが、そのためには国民全般に工学や科学技術の本質やその影響するところについての正確な認識が得られるような社会風土を導いていくことも大切です。

 一方、国民の安全で豊かな生活を維持するためには、特に天然資源が充分でないわが国にとって、その産業競争力と基盤となる公共サービスを維持発展させることは不可欠であり、そのために次の時代を担う技術者の養成も極めて重要です。また、これからの国際社会では、将来の人類のために、いろいろな課題へのよりよい回答の基礎として国際的に協力しつつ、人類の知的資産を増加させていくことも求められています。

 これらの課題に対応するために、先進諸国からはじまって、多数の国々で有志があい集い、工学アカデミーや類似の団体が結成され、その国際的協力のシステムも次第に組織化され、1985年には、国際工学アカデミー連合が結成され、日本工学アカデミーも1990年に加盟を認められました。2010年1月現在ではメンバーは26ヶ国に増えましたが、日本工学アカデミーは有力メンバーとして、そのほとんどすべての活動に参画しています。

 わが国では、類似の目的を持った組織として日本学術会議があります。しかし、日本学術会議は、海外の同種団体と対等の立場で協力して、同じ目的のために活動するためにはふたつの点で海外団体と異質の性格があり、スムースな協力に障害があります。そのひとつは、日本学術会議の会員は、学術団体から選出されてはくるものの、学術会議そのものは政府組織の一部であり、その事務局員は国家公務員であることです。第二には、日本学術会議はその目的や背景が“学術”であって、産業界や行政面での工学、技術の指導層と学界のリーダーのバランスのとれた組織ではないことです。諸外国の工学アカデミー、またはこれに準ずる団体は政府の支援を受けているものがほとんどですが、組織としては工学や技術の振興を目的とする民間団体として活動しており、国際工学アカデミー連合への加盟資格も民間団体に限られています。本会と日本学術会議は相互に補完しあって活動することが重要です。

 このような問題意識を背景として、約450名の有志があい集い、1987年4月16日に任意団体として設立された日本工学アカデミーが10年余に亘る実績の上にたって、発展的に再編成され1998年1月5日に内閣総理大臣許可の公益団体社団法人日本工学アカデミーとして発足致しました。


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