事業計画(2020年度)

1.2020年度の展望

 さまざまな課題と不安を抱える現在社会において、社会的、経済的、環境的に持続発展可能な未来社会像を描き、人々に夢と希望を与えることがとりわけ重要である。日本工学アカデミー(以下、EAJ)は、人々の安寧と豊かな社会の実現を目指し、「日本工学アカデミーの将来構想(2017.11.22)」に沿って、未来社会をデザインする活動に重点的に取り組む。特に、少子高齢化の急速な進展や、気候変動、自然災害などの脅威の増大に対して、工学の立場から、持続的社会の実現に向けたインパクトの大きい指針や具体的施策を提案する。そのために、幅広い学問分野、学際分野の専門家や多様な関係者との共創を軸に、協働を通じて、新しい価値、成果を生み出す実践的な活動を意欲的に進める。その際、得られた知識や経験の蓄積や共有を重視し、人的、組織的連携関係をもとに、EAJを核にした共創場(エコシステム)を実現していく。また、次世代を担う人材の育成やジェンダーなどの未来の社会変革につながる取り組みを強化する。これらを担当する委員会、支部は、これまでの成果を踏まえ、自主的に「年間活動計画」を作成し、計画的に活動を進める。なお、現在国内外でに拡大しつつある新型コロナウィルス感染症の展開に応じて、適切に対応していく。

2020年度は特に以下の点に留意する。
 

  • 喫緊の課題であるわが国の科学技術力、イノベーション力の向上に向けた活動に継続的に取り組む。
  • 科学技術のフロンティアの開拓や新興技術の社会への実装を通じて、社会的、経済的変革の加速を目指す。
  • 科学技術の負の面として懸念されるリスクや製造業での最近の不正事例に鑑み、倫理課題への取り組みを強め、国内外に広く発信する。
  • 政策提言のとりまとめにあたって、会員と立法府、行政府、学界、産業界、一般市民などとのより効果的な意思疎通の場を実現する。
  • 国際連携活動を強化し、国際的プレゼンスの向上を目指すとともに、EAJ活動全般のレベル貢献に活用する。
  • EAJにおける若手リーダー人材の育成プログラムや中高生の教育プログラムの体系化を図る。
  • 女性会員、若手会員、企業会員、私立大学所属会員、新興分野や人文社会科学分野の会員の拡大に努め、未来社会のデザインに多様な視点から新たな息吹を吹き込む。
  • 多様な収入源を開拓し、事業展開のための財政基盤の強化と資金の安定確保を図る。

2.法人運営に係わる活動

2-1 企画推進活動

1)社員総会 
 社員総会は、EAJの最高議決機関であり、理事及び監事の選任、事業計画・予算、事業報告・決算などを決議する。定時社員総会は、毎事業年度終了後3カ月以内に開催する。
 多数の会員が一堂に会する機会を利用し、会員のみならず様々な分野の専門家が、工学や科学技術と社会との関係を議論する場として、EAJフォーラムを開催する。同様に、新年賀詞交歓会などにおいても、多数の会員が交流できる企画を検討し、実施していく。

2)理事会 
 年に5回(社員総会直後、7月、11月、2月、5月)開催し、会員入会可否、役員選任、諸規則の制定・改定・廃止、重要行事等の開催計画などの審議、議決を行う。なお、2月理事会にて、次年度事業計画および収支予算を議決する。また、5月理事会にて社員総会に提議するすべての議案を議決する。

3)企画運営会議 
 年に8回開催し、EAJの基本方針や分野別事業等の重要課題につき企画・調査・検討し、理事会に提議する。また、会長、理事会からの諮問に応じて調査・検討し答申する。

4)企画推進グループ 
 役員が新体制となる1年度目として、以下の活動を重点的に支援する。法人運営に係る活動では、財務・事務機能強化委員会、会員強化委員会と連携し、組織基盤安定化支援を行なう。公益目的事業に係る活動では、EAJ内の各事業間、産学官の連携を強化を促進することで、EAJならではの活動を支援する。

2-2 組織基盤増強活動

1)会員選考委員会 
 前年度に引き続き年度内に4回の委員会を開催し、推薦された会員候補者の選考を行い、適格と認められた候補者を理事会へ推薦する。会員数の更なる増強について、若手会員や女性会員比率の向上に努める。さらに、新たに会員強化委員会を設置して、会員選考委員会との役割分担を明確にする。

2)会員強化委員会 
 賛助会員の拡大に向けた取組を継続し、財政基盤の健全化と産業界からのEAJ活動への参加拡大に貢献する。また、産業界からの正会員の増加に向けて、推薦活動を強化する。「第4回日本工学アカデミー・賛助会員企業ラウンドテーブル」を開催して、賛助会員の関心の高い主要課題について意見交換し、その成果をEAJ活動に活かす。また、人材育成委員会の主催する「第1回若手リーダー塾」に、賛助会員企業から多くの受講生が参加するよう呼びかけ、産業界のリーダー育成に役立てる。

3)財務・事務機能強化委員会 
 EAJの活動を支えるために、会員および賛助会員からの会費収入に加えて外部からの受託事業の拡大など、幅広い収入源の開拓を事業横断的な課題として推進する。また、事務体制の強化と情報システムの充実を通じて、事業活動の円滑な推進と会員サービスの拡大に努める。

2-3 事務局

 情報伝達・連絡などの支援業務の円滑で効率的な実施に努め、EAJ事業・活動を支援する。
 

3.公益目的事業に係わる活動

3-1 委員会活動

1)政策提言委員会  
 EAJは、社会が目指すべき方向性について、先見的、創造的な提言活動を強化することを謳っている。また、可能な限り会員に参加意識を持ってもらえるような機会を創出することも求められている。2020年度は、EAJが取り組むべき先見的、創造的な提言に結び付く課題の絞り込みとプロジェクト実施立案の支援、成果物のとりまとめのための審査・助言を行うとともに、成果の外部公表の充実も図る。

2)科学技術イノベーション2050委員会 
 2019年度の議論を受け、解決すべきテーマや課題を特定するとともに、そのために必要な技術に対し、実現に向けたパスウェイを議論するためのワークショップを開催する。技術が支える社会イノベーションのロードマップならびに、持続可能な社会を実現するためのアクションプランを作成する。

3)国際委員会 
 国際委員会三原則「(1)担当副会長をトップとして総合的に推進、(2)EAJの国際連携は、各国の工学アカデミーとの組織的連携を前提、(3)限られた資源の配分を意識して、関連活動を展開」を堅持する。なお、専門性が問われるイベントへの積極的な若手人材の派遣、国際事業の国内他機関との共催の拡大を軸に、EAJ国際委員会フォーラムを継続的に開催し、日本における国際連携ネットワークを強化する。事業の継続性を担保しつつ、委員会体制の交代を図る。国際アカデミー間連携では、1)国際工学ア
カデミー連合、2)東アジア工学アカデミー円卓会議、3)欧州交流委員会の事業を継続する。また、国際人材育成では、1)2020日米先端工学シンポジウムの実施、2)日豪次世代リーダー育成の継続を図る。

4)人材育成委員会 
 「未来社会と工学教育プロジェクト」の成果を踏まえ、シンポジウム形式の討論を年一回程度行い、さらに様々な問題提起を議論していく。企業、アカデミアの若手を対象に、新規に「若手リーダー塾」を立ち上げ、新型コロナウィルスの状況を見つつ可能な範囲で開催する。

5)若手委員会 
 前年度に引き続き、諸活動を推進する。特に、「次世代マテリアルシステム」提言書に続く、新たな提言書作成に向けて、委員会で積極的な意見交換を行う。またJAFOEなどを通して、海外との連携などについても積極的に取り組んでいく。

6)ジェンダー委員会 
 EAJの他委員会との連携を一層強化し、引き続き、日本の工学活性化のために、EAJが女性参画を通してできることについて議論を推進すると共に、その改善策を提案・実施する。具体的には、各委員会の委員やシンポジウム等の登壇者などにおける多様性の確保のための検討と提案を行う。また、情報発信方法の実効性を高め、より社会的インパクトの大きな活動を進める。

7)広報委員会 
 EAJ NEWS、EAJニュースレター等の会員への情報発信の更なる充実を図るとともに、英文ホームページを開設するなどホームページの充実を図る。また、メディアの協力を得るための広報活動について、引き続き検討を続ける。

3-2 支部活動

支部・地区での特徴ある活動を中心に、広く事業展開を目指す。支部・地区発の提言・提案プロジェクトの掘り起こしも奨励する。

1)北海道・東北支部 
 北海道支部と東北支部として、それぞれが独立して発展できるようにするために、一層の会員増加に力を入れる。前年度に引き続き、支部理事会、講演会、懇親会を年度3回行う。

2)中部支部 
 EAJ中部レクチャーの開催(4回の開催予定)、各種講演会・セミナー等の共催、後援、協賛(適宜)、運営委員会の開催(4回の開催予定)、EAJ中部通信の発信(適宜)を進める。
 具体的な活動の柱は以下のとおりである。
 (1) 中部レクチャーを通して新しい技術・情報の紹介と共有に寄与する
 (2) 中部通信を通じて会員相互の情報交換、交流を活性化する
 (3) 運営委員会を開催し、新たな企画、情報発信の場の企画などを行う

3)関西支部 
 運営委員会を3回程度開催する。また、2020年春に第4回講演会を「情報科学(AI)・数理データ科学教育の新展開(仮題)」をテーマに大阪近辺での開催を計画する。さらに、2020年秋に第5回講演会等を京都地区で開催する予定である。
 具体的な活動の柱は、以下のとおりである。
 (1) 関西地区の特徴である工学分野を中心とする話題に関する講演会・研修会などを企画・実施し、次年度以降の関西支部の活動の展開を図るための基盤づくりを引き続き進める。
 (2) 若手人材の育成を考慮した活動の準備を進める。

4)九州支部 
 総会・理事会 各1回(2020年5 ~ 6月予定)、講演会 1回、工業高等専門学校への出張講演会 1回、九州工学教育協会との共催事業 シンポジウム 2回、運営委員会(仮称)新設と会員拡大活動など、の活動を進める。
 2020年度の活動の柱は、以下のとおりである。
 (1) 支部会員への情報提供や交流の場として、講演会、シンポジウム、懇親会などを開催する。
 (2) 次代を担う高校生や高専生に対する工学・科学技術の啓蒙活動として、出張講演会を開催する。
 (3) 支部運営体制の強化を図るとともに、会員拡充に向けた取り組みを行う。
 (4) 九州地域の特性を反映した課題解決や地域の活性化に向けた活動を企画、実施する。

5)その他
 その他の地区においても、地区講演会の開催などを通じて、地域の活性化の足がかりと会員増強に努める。なお、引き続き会員ゼロの県をなくす努力を継続する。

収支予算

【基本方針】
 2020年度は、前年度と同様に、委員会、支部が中心になって活発な事業活動を展開する。このために、前年後の実績を ベースに予算枠を設定した。予算の執行段階での様々な状況変化に対しては、予備費の活用と必要に応じて理事会で対応する。

【事業活動収入】
 2020年度の、会費収入及び負担金収入の見込みを63,432千円とした。

【事業活動支出】
 政策提言、国際活動、ジェンダー委員会、支部活動、広報活動などを引き続き積極的に展開する費用として63,380千円を見込んでいる。

【当期収支差額】
 これらにより事業活動収支差額は52千円の赤字となる。一方、投資活動で退職金給付引当預金取得支出668千円、予備費1,000千円を計上し、当期収支差額は1,616千円の赤字であるが、前年度決算が38,001千円であったことから大幅な改善となっている。

【次期繰越収支差額】
 以上から、次期繰越収支差額は36,385千円になり、当面の活動に必要な繰越金は確保できている。
*次期繰越収支差額36,385千円には、特定費用準備金が含まれた額である。

【その他】
〇2020年度特定費用準備資金について
(内訳)
 1. CAETS2030開催準備資金     2,500千円
  (2019年度より設置当初分 10,000千円)
 2. 二国間連携促進準備資金       3,000千円(取崩予定額2,600千円)
  (2019年度より設置当初分     3,000千円)

 

組織・運営