就任ご挨拶(2代会長)向坊 隆

会長就任にあたって

原子力委員会 委員長代理・東京大学 名誉教授
向坊 隆

今回はからずも小林前会長のあとをお引受けすることになりました。日本工学アカデミーが初代会長として世界的な御活躍をされている小林大先輩を初代会長にお迎え出来たことは誠に有難いことでした。お蔭様で国内で工学界や産業技術の面で指導的な役割を果しておられる方々の御賛同を得てアカデミーが発足し、海外のアカデミーとも密接な関係をもって、一応の軌道にのることが出来たのでした。
大先輩のあとを受けた力不足の私としては重荷に堪えない気持でありますが、副会長や理事をはじめ多くの熱心な方々の御助力を得て、何とか大任を果したいと思いますので、何卆宜しくお願い致します。
わが国は幸にして著しい経済成長を遂げ、生活水準も向上致しましたが、今後一層の発展を続けるためには、今迄にも増した努力が必要と思われます。それには技術・経済の問題もありますが、積極的な面で最も大きな貢献をなしうるのは科学技術だろうと思います。
科学技術の発展のためには教育をはじめ研究環境の整備、産官学の共同などについての工学関係者の密接な協力が不可欠であります。その意味において工学アカデミーの果すべき役割は極めて大きいといわねばなりません。
科学技術では国際間での協力や競争が益々重要になると思われます。アカデミーとしても、国内的な活動のみでなく、先発の諸外国のアカデミーの活動に学び、協力を進めることになるでしょう。
わがアカデミーは、会員相互の親睦に止まらず、上に述べたような目標に向って活動すると同時に、内外に向ってその成果を発表し、場合によっては然るべき機関に対して進言したり勧告したりすることも必要と思います。
会員の個人会費のみに頼って運営されているわがアカデミーは、今のところ経済的基礎が必ずしも充分でない悩みを抱えております。
この点は会員の増加をはかると共に、活動の拡大の中で財政的強化も検討して行く必要があると思います。特に海外との協力を、拡大するためには、今の状態のままでは限界があるでしょう。
会の活動のために、御盡力願っている会員や事務局の方々に感謝すると共に、今後の一層の努力をお願いして就任の御挨拶と致します。

(EAJ NEWS No.9 1989年7月)