第4回〈通算第20回〉 定時社員総会における会長挨拶

 先ずは、熊本地震でお亡くなりになった方々に心からご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された皆様に深甚なるお見舞いを申し上げます。
さて日本工学アカデミーは、これまで様々な活動により成果を挙げてきました。とくに近年、国際交流や支部活動にいろいろな進展が見られました。これらは各報告をご参照いただくことにして、ここでは政策提言についてのみ触れたいと思います。

実は特記に値する政策提言の実績があります。「東電福島第一原発汚染水問題の対応へ向けた日本工学アカデミーからの提言」(2014.5.27)と、「インフラのメンテナンスマネジメントシステムの構築」(2014.11.27)です。その後も提言に向けた議論や動きはありましたが、実現に至っておりません。
日本では、かねてより科学者/専門家集団による助言を含む提言機能の弱さが指摘されてきました。少なくとも欧米の動向を踏まえれば、科学や技術に関するアカデミーの政策提言の必要性は、これまでもそうでしたが、今後ますます大きくなることは間違いないでしょう。政治の世界では、とくにわが国では、しばしば提言集団の利害に関する陳情と受け取られがちであることは残念であります。これには科学者/専門家集団側にも反省すべき点があるように思います。その他これまでの経緯や慣行もあり、必ずしも容易ではありませんが、小宮山会長時代の前例や流れを参考にして、健全でかつ社会や政治の世界からも評価される政策提言を目指していきたいと考えます。その際、日本工学アカデミーが非政府機関であることは、大きいメリットの一つではないでしょうか。

ところで今回の会長選出は、一言でいえば難産でした。小宮山会長のご苦労を、少なくとも周りにはそう見えました。難産が好ましいとは思いませんが、他方、経過や評価が不明な選出があるとすれば、それもまた褒められることではありません。今回を教訓として、また咋今の世間の流れから人事の透明性が求められている現状に鑑み、名誉会長(前会長)を委員長とする、会長候補者推薦委員会を設置していただきました。

日本工学アカデミーは、諸先輩が築かれた伝統の継続とそれに根ざした発展が求められます。副会長をはじめとする役員の皆さん、委員の皆さん、支部役員の皆さん、そして事務局の皆さんとともに、人類社会に資するアカデミーを目指して、汗を流して参ります。会員各位におかれましては、さらなるご支援を賜りたく、また忌憚ないご意見をお寄せいただきたくお願い申し上げます。

2016年 5 月31日

(公社)日本工学アカデミー 会 長

阿  部  博  之