2012年 年頭のご挨拶

 東日本大震災で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。一刻も早い復旧・復興に我々も努力をして参ります。
 さて昨年は日本工学アカデミーの飛躍の年にしたいと申し上げ、財政的には単年度で収支がバランスするレベルまで改善できました。そこで今年からは攻めに転じて、いつも申し上げているように、「課題先進国」日本の課題を解決し、解決手法を世界のスタンダードとして発信することに注力したいと思います。そのために工学が果たすべき役割は大きく、わがアカデミーも同じ目的で活動をしているプラチナ構想ネットワークとともに、Network of Networksで貢献していきたいと思います。
 一昨年来、アカデミーの活動基本方針として、地域活性化、国際(特にアジア)交流、人づくりの3つを掲げてきました。
 先ず、昨年はアカデミーで初めての支部が九州に設立されました。そして従来会員数の少ない北陸と四国でそれぞれ講演会を開催できました。今年は更に北海道・東北地区の支部化が進みます。
 次に、東アジア工学アカデミー円卓会議は昨年の釜山開催から、今年9月には福岡での開催が廻ってきます。Engineering Toward Human Security and Well-Beingを主題に災害、健康、教育の課題を取り上げます。これに加えて、今年は新たにローレンス・リバモア他の米国研とワークショップを日本で開催する計画です。また、昨年10月の第8回STS Forumで工学アカデミー会長会議をキックオフさせましたので、今年10月には更に多くの工学アカデミーと産業界からの参加を見込んでいます。
 最後に、人づくりの重要性はいうまでもありません。産学官の有識者を擁するわがアカデミーこそ、その問題に真剣に取り組み、また単なる知識の教育だけではなく、真にイノベーションを生むことのできるグローバルな人材をいかに育てるかを考えていかねばなりません。昨年6月には日米先端工学シンポジウムを、会場を大阪に変更して開催しました。全米工学アカデミー(NAE)のVest会長から「大成功」と高い評価を得ました。このシンポジウムは若手研究者・技術者が自ら企画・運営・実行する、文字通りEngineering Designのコンセプトで実施されるもので、今後ともその発展・継続に努めたいと思います。更に、日豪や日韓の若手交流も継続して実施しています。
 昨年は、提言「日米科学技術・イノベーションパートナシップの強化」に続いて、急遽編成した検討会が「福島第一原子力発電所事故後の電気エネルギーの円滑な供給に向けて」を纏め、公開シンポジウムで広く社会に訴えました。今年は医療分野を含めた幾つかの作業部会から、報告や実践の成果があがってくると期待しています。
 会員の皆様のご理解と積極的な参画を期待しています。

2012年 1月19日

(社)日本工学アカデミー 会長

小宮山 宏