第11回 通常総会における会長挨拶

 只今ご紹介いただきました中原でございます。皆様からのご指名により、今期の日本工学アカデミーの会長を務めさせて頂くことになりました。本日は、皆様ご多用中のところ、日本工学アカデミーの総会・懇親会にご出席を賜り有難うございました。
 幸い本日は、しばらくぶりに好天に恵まれました。また東京大学総長の小宮山先生には、ご多忙中にも拘わりませず、すばらしいご講演を頂きありがとうございました。「『課題先進国』日本と工学の役割」という題で、正に日本工学アカデミーの将来のあるべき方向について、意味深長なご示唆を頂きました。小宮山先生には今期の日本工学アカデミーの理事にご就任頂いております。この懇親会にもご出席頂いておりますので、さらにご交流を重ねて頂きたいと存じます。
 さて、先ほどの総会で、2007年度の事業報告及び会計報告、並びに2008年度の事業計画及び予算についてご報告し、会員の皆様のご了承を得ました。ご高承のように昨年10月下旬の第17回CAETS Convocationでは、世界23カ国より278名の参加者を得て『環境と持続的成長』に係わるシンポジウムを併催し、その結果を踏まえての共同声明が最終日のCAETS総会にて了承されました。大勢の方々の温かいご支援により、無事好評裏に終了することが出来ました。重ねて厚く御礼申し上げます。
 また昨年度よりの日本工学アカデミーの新しい体制のもとで、理事会、会員選考委員会をはじめ皆様方のご支援により、年度末会員数は654名に達し、賛助会員も25社、132口となり、いずれも過去最高となりました。しかし現状では、未だ緊縮財政から脱却するには不十分ですので、本日ご決定頂きました新しい日本工学アカデミーの体制のもとで、さらに努力を継続致したいと存じます。この点、会員の皆様方の一層のご支援をお願いする次第であります。
 今年度は、従来の活動を発展的に継続致しますが、新しい試みにも、着手して参りたいと存じます。一つは、昨年の『環境と持続的成長』シンポジウムの結果を活かして、低炭素社会の実現に聊かでも貢献することであります。
 最近日本工学アカデミーより、これについての緊急提言を致しました。今年度は国内で関係各方面にも働きかけながら、その具現化に力を入れていきたいと考えています。
 さらに6月のオランダ・デルフトでのCAETS年次大会において、このための国際ネットワークを形成することを提案する予定としております。
 また、我国製造業の再生を確かなものにするべく、“ものづくり”に対する提言を纏める活動、科学技術の進歩・発展に正しく寄与する安全知の認知・創域、第三者評価、技術系人材育成の在り方など、日本工学アカデミーでないとできない提言の取りまとめに努力を致します。
 もう一つは、マスメディアのイノベーションへの貢献であります。最近マスメディアの技術リテラシーの不足、または、過剰な利益主義と倫理の欠如による「風評公害」が目立つようになりました。これは日本だけではないようです。民主主義の先進国の筈の米国においても、マスメディアと政府の誤りは国を滅ぼすものだという批判が起こっております。日本工学アカデミーと致しましては、政府と同様に、マスメディアが国の方針を誤らないように、提言や啓蒙をしていくことが大切だと思います。
 最後に日本工学アカデミーの判断力のグローバル水準への向上があります。第二代会長の向坊先生のときに、「日本の技術者はGlobal Engineerになることが必要」との先見の明から、ご苦労の末、早期に資格を得て、日本工学アカデミーはCAETSのメンバーになる事が出来ました。あれから、はや18年になります。
 今年は世界最大の技術者協会であるIEEEと、技術経営についての日米国際シンポジウムが日本で開催されます。これについても日本工学アカデミーの会員が、組織委員会、プログラム委員会等に参画いたします。技術経営は今後益々重要になると思います。この分野でも日本の技術者が国際基準にレベルアップすることを期待しております。
 今後の日本工学アカデミーの活動につきまして、是非とも皆様方のご指導・ご鞭撻をお願いする次第でございます。これをもちまして私のご挨拶と致します。ご清聴どうも有難うございました。

2008年 5月15日

(社)日本工学アカデミー 会長

中原 恒雄