就任ご挨拶(9代会長)小林 喜光

会長就任にあたって

  第9代会長 小林 喜光

6月2日に日本工学アカデミーの会長に就任いたしました。副会長、理事、委員長の皆様方のご協力を得て、日本工学アカデミーの一層の発展に尽力して参りますので、宜しくお願いいたします。

日本工学アカデミー会長に就任するにあたり、我々を取り巻く世界の現状を把握し、その中で日本工学アカデミーが果たすべき役割について、私の考えを述べさせていただきます。

現代社会では「ポストグローバル化」「デジタル化」「ソーシャル化」の3つの潮流が生じており、我々を取り巻く環境は急激に変化し続けています。英国のEU離脱、GAFAやBATを中心にしたグローバルプラットフォーマーの台頭、AIや量子技術の急激な進歩など、時代はまさに革命期に突入していると言えるでしょう。そして、気候変動、水・食料問題、海洋プラスチック問題などがあり、そのうえ昨今の新型コロナウイルスの世界的大流行により世界経済は大きく低迷し、生活様式も大きく変革しようとしています。このように、我々の目の前には解決すべき地球規模の課題が山積されています。

日本工学アカデミーは「人類の安寧とより良き生存のために、未来社会を工学する」を基本理念と定め、工学及び科学技術全般の進歩及びこれらと人間及び社会との関係の維持向上を図り、我が国及び世界の持続的発展に資することを使命とする公益社団法人であり、言わば工学・科学技術全般の幅広い知識を有する専門家集団です。多様な会員の皆様の英知を結集して共創・協働することで、これらの地球規模の各種課題の解決に向けた大きな貢献ができると確信しています。そのために、日本工学アカデミーとしての以下の活動を推進していきたいと考えています。

①工学・科学の広範な知見に基づいて、羅針盤となる政策提言を発信する。
②自然科学と人文・社会科学の垣根をも越えた共創のための場を構築する。
③多様な会員の充実を図り、未来社会のデザインに新たな息吹を吹き込む。

私は産業界に身を置き、長年地球との共存を念頭に企業価値を追求してまいりました。残念ながらここ30年間の日本はあらゆる分野で停滞しているにも関わらず、社会はその状況に満足しきっていて、私は「茹でガエルには蛇を」と言い続けてきました。今日では「新型コロナウイルス」が「蛇」になって社会を大きく変えようとしています。このような社会変化を踏まえてこれまで得てきた企業人としての知見を反映しつつ、会員の皆様の積極的なご支援とご協力を賜りながら工学・科学技術全般の発展に尽力し、そして持続可能な社会の実現に向けて貢献していきたく存じます。

(EAJ NEWS No.184 2020年7月)