会長からのメッセージ

2017年 年頭のご挨拶

 明けましておめでとうございます。
 2016年のノーベル生理学・医学賞は大隅良典東京工業大学栄誉教授に授与されました。改めてお祝いを申し上げます。また長年にわたり先生のご研究を支えてこられた方々と関係大学に対して、併せて敬意を表します。
 大隅先生はご挨拶の中で、基礎研究環境の脆化など日本の大学の基礎体力の低下について強い懸念を示されました。ここ数年を見れば、文科省科学技術・学術政策研究所の諸調査とも重なります。近年大学に対しても、短期的成果を求める研究費が増えているといわれていますが、これが産業界の意向によるものとは思えません。テーマにもよりますが、とくに大学においては、長期にわたる研究は大切です。イノベーションにとっても不可欠です。
 大隅先生を含めて、これまでの自然科学系のノーベル賞受賞者の教育や研究に対する警告はまさに傾聴に値するものでした。しかしとくに近年、必ずしも政策に反映されてこなかったことは反省点ではないでしょうか。
 いわゆる「失われた20年」は尾を引いていますが、この流れから脱し、真に世界に伍する日本を創っていくためには、教育や人材育成への投資は不可欠です。国家財政の健全化と両立する知恵を出していかなければなりません。
 日本工学アカデミー(EAJ)は本年30周年を迎えることになりました。諸先輩が築かれた歴史に思いを馳せるとともに、非政府機関であるEAJの諸活動をさらに活性化し、より見える実績にしていきたいと考えていますので、一層のご指導、ご協力をお願いいたします。
 去る11月23日には、九州、北海道・東北に次ぐ3番目の支部として、中部支部が誕生しました。関係各位のご尽力に謝意を表するとともに、地区の優れた特色を生かしたご発展を期待いたします。
 次は会員増強についてのご報告です。世界の工学アカデミーの特色は、学術界とともに産業界の会員が大きい割合を占める点にあります。EAJの、産業界からの正会員数の全正会員数に対する比率は、2016年8月現在で約17%であり、これを2020年には30%以上にしようとの目標を掲げました。賛助会員の大幅増強にも着手しております。これらは法人会員強化委員会が中心になって進めています。一方女性正会員については、約4%を同じく2020年に10%以上にしようとする目標です。さらに全体を見ると、学術界、産業界、官界を問わず、会員に相応しい方々がまだ多数おられます。会員数を適正な上向き傾向に変えるべく努力を始めたところですので、会員や関連企業の皆さまのご協力を切にお願いいたします。
 会員の皆さまのさらなるご健勝を祈念し、新年のご挨拶といたします。

2017年 1月

(公社)日本工学アカデミー 会長

阿部 博之