会長からのメッセージ

2018年 年頭のご挨拶

 明けましておめでとうございます。
 日本工学アカデミーは、創立30周年の記念式典(1月19日)を経て、新たな歩みを刻み始めます。そこでここ一年を振り返り、これからの日本に密接に関連するいくつかの事項についてご報告いたします。
 昨年5月に、「緊急提言-わが国の工学と科学技術力の凋落をくい止めるために-」をとりまとめました。すでに多方面から指摘されているように、とくにここ十年、日本の科学競争力や大学ランキングの国際評価は、低下の一途です。このような低下傾向が続けば、イノベーションの創出はもちろんのこと経済競争力への負の影響は必至です。しかも科学技術政策の熱意ある遂行や大学改革の努力の結果なのです。関連する政治家などを訪問して、「緊急提言」の説明に動いているところです。具体の対策には難問が多々ありますが、危機感の共有は得られ始めているように感じています。
 昨年2月の理事会で、「SDGs(持続可能な開発目標)における科学技術イノベーションの役割」と題するプロジェクトを設置しました。SDGsについては、総理大臣を本部長とする推進本部があり、各省や一部企業、大学などでも議論が進められています。SDGsで議論すべき事項・内容が極めて多面的であることから、日本工学アカデミーは、会員として各分野の専門家を擁しているなどの特質を生かし、さらに非会員の協力も仰ぎ、全地球の持続的発展に資する提言に向けた検討に着手しました。政府にとっても有用な知見を提供できればと願っています。
 創設以来の実績や議論を踏まえ、今後の20年、30年の社会を展望して、日本工学アカデミーの使命と将来ビジョンとして「これからの日本工学アカデミーの役割」を取りまとめました。内容説明は省略しますが、地球規模では、格差や貧困、食料、自然災害、気候変動、テロリズムなどの課題が山積し、とくにわが国では、少子高齢化時代の活力ある社会の維持が課題となっています。工学アカデミーへの期待と役割には、大きいものがあると考えます。
 支部活動も新たな段階を迎えつつあり、また国際連携活動もさらなる積み重ねを進めております。その他の様々な活動を含めて、「活動報告」や「EAJ NEWS」をご参照ください。
 今年の6月に開催予定の総会にあわせて、年次大会を開催することにいたしました。多くの会員の皆さまの参加を期待するとともに、開かれた工学アカデミーへの一助になればと願っております。
 日本工学アカデミーの正会員数は727名(2017年11月現在)です。関係各位の熱心なご推薦により、2016年8月から133名増加しました。産業界からの会員の比率は、この間に約17%から21%になりました。一方女性会員は微増で、約5%です。賛助会員につきましては、31社から44社に増加しています。
 会員各位のさらなるご健勝を祈念し、新年のご挨拶といたします。

2018年 1月 1日

(公社)日本工学アカデミー 会長

阿部 博之