Ⅰ.EAJの基本ミッション
従来は自明の理として明言されてこなかった「工学アカデミーの基本ミッション」について議論を進め下記の三点に絞り込んだ。
1.Engineering Design & Maintenance
2.Engineering Ethics & Education
3.Social System Innovation & Engineering Sustainability
さらに本アカデミーの目的を「これからの社会を『工学する』」とし、「Engineer the Future」を掲げる。
Ⅱ.活動計画概要
4 項目の社会的機能を達成すべく、下表に記載する諸活動を推進する。
1.地域活性化
・九州支部および北海道・東北支部での支部活動強化と支部間交流会の実施
・関西地区および中部地区での本部ないし支部設立の準備
・北陸・信越地区と中国・四国地区での地区活動の強化
・「プラチナ構想ネットワーク」との連携
2.国際交流
・世界(CAETS)と東アジア(EA-RTM)での連携強化
・二国間(日米JAFOE、日豪ERLEP、日韓、日泰他)若手交流の促進
・日米・日英・日仏・日独・日瑞(日瑞基金を含め)・日泰等の二国間シンポジウムの開催
・STS forum 工学アカデミー会長会議でYoung Engineering Leader Symposium(YELS)を開催
3.人づくり
・政策提言の発信
・科学技術リーダー人材の育成と産業技術館(仮称)構想の推進
・EAJ若手部会からYoung Academy of Engineeringの創設へ
・産業界と連携して、「師弟相互の学びの場」としての工学アカデミーを志向
4.情報発信
・提言、EAJ NEWS、EAJ Informationなどの発信
・談話サロン(公開シンポジウム)の継続的な開催
・国際シンポジウム(特に若手部会から)の開催
・公益社団法人の特長を生かして、寄付活動を促進
以上の諸活動を推進する体制を以下のように強化する。
1.常置委員会と特別委員会
常置委員会として、会員選考委員会と企画・運営委員会を置き、国内外の会務を統括する。
特別委員会として、会長アドバイザリー委員会、安全知と安全学委員会、産業技術館設置準備委員会、編集会議、CAETS実行委員会、EA-RTM実行委員会、JAFOE実行委員会、ERLEP実行委員会、STS forum YELS実行委員会、欧州交流委員会を置き、これにより会員選考と企画・運営の両委員会と設置期間を限定した特別委員会を理事会の下に設置し、トップダウンの形で重要な課題に取り組む。
2.プロジェクト活動
会員からのボトムアップの形で重要な課題に取り組む。「若手部会」「自然エネルギーのガバナンス」に加えて、新規に「新コアプロジェクト」を設置すると共に、さらに新規プロジェクトを募集する。
3.産業界との連携
会長アドバイザリーからのご意見を踏まえ、以下の方針を産業界と協議の上で推進する。
「メンテナンスとイノベーションに依る21世紀の産業と社会の再生」
1)産学の緊張した連携と社会技術イノベーション
2)人材
3)「工学」の認知度向上
4)成功事例分析
これらを推進するために、産業技術館設置準備委員会で具体策を検討する。財政健全化の取り組みも併せて実施する。
- 理事会の開催頻度に合わせ、年度内に委員会を 4 回開催し、推薦された会員候補者の選考を行い、適格と認めた候補者を理事会に推薦する。それに加えて、本アカデミー役員、会員の協力を得つつ、適格な会員候補者を発掘し、会員資格のレベルを落とすことなく、会員拡大を図る。
- 本アカデミーの基本方針や重要課題につき企画・調査・検討し、理事会に提議する。また、会長、理事会からの諮問に応じて調査・検討し答申する。プロジェクトをはじめとする実践的活動を推進する。工学アカデミーの基本的な使命を確認しつつ、組織存続の要となる財政健全化に向け、正会員と賛助会員の拡大および外部資金と寄付金の獲得の具体的な施策を企画・立案する。国内外のシームレスな活動を強化するために、政策・国際・広報の活動を企画・運営委員会で一括運営する。
- 主に産業界のアドバイザーから本会の在り方について会長にアドバイスをいただく。
- これまで11回実施してきた「安全工学フォーラム」の開催を継続し、安全学という新しい安全に関する学問を構築することを目指す。また、我が国を安全の価値を重視する国づくりと、我が国が世界に安全の面から貢献できる道を開くことを目指す。
- 工学の在り方を深め、初等・中等・高等ならびに社会人教育の場となる「産業技術館(仮称)」を設置し、日本のみならず世界との交流センターとする。
- EAJ NEWS他の編集を行うと共にデジタル化を推進する。
- 9 月12 -15日にロンドンで開催されるCAETS大会に出席し報告する。
- 8 月31日から9 月1 日に福岡で開催するEARTM会議を主催し、中国工程院(CAE)および韓国工学翰林院(NAEK)と三国間交流を推進する。
- 6 月16-18日に米国・アーバインで開催されるシンポジウムに若手研究者・技術者30名で参加し、NAEが選出する米国の若手30名と合同でイベントを開催する。
- 日本学術振興会(JSPS)の支援を得て11月21日から12月2日まで、豪州理工学アカデミー(ATSE)推薦の豪州の若手研究者・技術者8名を日本に受け入れる。
- 10月4-5日にSTS forum の機会に京都で着手エンジニアリーダーのシンポジウムを開催する。
- 欧州主要国との交流を推進する。展開に応じ、二国間的定期交流事業も展望する。英国とは、2015年11月30日から12月1日に英国大使館で開催したロボティックスに関する日英交流および12月2-5日のロボット展出展を踏まえて、英国訪問を含めたイギリス王立工学アカデミー(RAEng)との交流の継続を検討する。ドイツとは、インダストリー4.0のヒヤリングを通して、acatechとの交流を推進する。また、オーストリア・グラーツで開催されるオープンイノベーションの国際シンポジウムに参加し、欧州との交流を推進する。その他、フランス、スウェーデンなどと交流を追求する。
各委員会の活動
- JAFOE、ERLEP、STS forum YELSなどに参加する45歳までの若手を中心にした活動を行う。
- 分散型エネルギーの場合、地域特有の課題となることから、エネルギーガバナンスは中央政府だけでなく、自治体、地域コミュニティー、家庭、個人にとって必要となる。本プロジェクトでは原子力開発に関わる放射性物質の影響、化石燃料の実態、多様なエネルギー供給と社会との関係を研究し、その成果を日本学術会議と連携してシンポジウムを開催し、政府、自治体、地域コミュニティーで活躍する次世代に対して情報発信を行い、日本のエネルギーガバナンス能力向上に貢献する。
- 日本工学アカデミーが取り組むべき5 つのコアテーマについて、先見的なメッセージを発信して、さらに発展させる。
- 化石資源から脱却できるのかをキーワードに議論を展開する。
- 持続的メンテナンスはできるのかをキーワードに議論を展開する。
- 高度医療を誰でも享受できるかをキーワードに議論を展開する。
- 労働はなくなるかをキーワードに議論を展開する。
- 情報の壁は取り払えるのかをキーワードに議論を展開する。
- 適宜募集する。
各プロジェクトの活動
- 会員・非会員の交流と新会員加入のための活動を目的として、年次計画で支部内各地での講演会・懇親会を企画し、工学アカデミーの支部活動の活性化に貢献する。
- 2016年2月6日の中部地区講演会・交流会を踏まえ、中部支部立ち上げを推進する。
- 関西本部(仮称)の設立に向けて、地区講演会などのイベントを開催する。
- 九州支部の会員増強と会員・非会員間の情報の共有を目的として、支部シンポジウムを開催する。さらに日本の工学分野で将来実質的にリーダーとなる人材育成に資する活動を行う。
- 中国・四国地区および北陸・信越地区での活動計画として、地区講演会を開催し、地域の活性化の足がかりと会員増強に努める。同様にこれまでも会員ゼロの県をなくすことを目標としてきたが、まだ達成していないので、今後も努力を継続する。
支部と地区の活動
収支予算
【基本方針】
2016年度は、原則として2015年度の実績をベースに予算枠を設定した。予算の執行段階での様々な状況の変化に対しては、予備費の活用と必要に応じて理事会決定で対応する。
【事業活動収入】
2016年度は、負担金収入4,000千円(JAFOE開催)の他、会費収入の増加を見込んだ。
【事業活動支出】
2016年度は国際活動費として12,000千円を見込んだが、JAFOE開催費8,220千円およびEA-RTMの福岡開催費他を含む。なお開催頻度が毎年(CAETS)、隔年(JAFOE)、三年毎(EA-RTM)になるため、特に2016年度は国際活動費が多くなるが、均すと毎年5,000千円程度の国際活動費(EAJ負担分として)が必要である。
【収支差額】
これらにより事業活動支出は4,152千円の赤字となり、前年度実績対比496千円の改善となる。また投資活動支出(退職給付引当預金取得支出のみ)として735千円、予備費支出として1,000千円を計上する。従って当期収支差額は、前年度実績対比504千円の悪化と横ばいで5,887千円の赤字となる。
【繰越収支差額】
その結果、次期繰越収支差額は17,202千円になり、当面の活動に必要な繰越金は確保できるが、3年弱以内に抜本的な改善が必要である。