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公益社団法人 日本工学アカデミー

日本工学アカデミーは、工学・科学技術全般の発展に寄与する目的で設立された産学官の指導的技術者の団体です

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就任ご挨拶(6代会長)中原 恒雄
会長就任にあたって

有限会社中原総合研究所 代表取締役
中原 恒雄

このたび西澤前会長のあとを受けて会長を務めさせて頂くことになりました。微力ながら歴代の先輩会長を見習って、副会長・理事・委員長・部会主査・事務局の方々と共に、日本工学アカデミーの発展に全力を尽くしたいと存じております。皆様方のご指導とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
前体制から二つの極めて重要な引き継ぎを受けました。
一つは会費を半分にして、皆様方の個人的経済負担を軽減し、その分会員の数を増やすなどして財政均衡を図ることを目標にするというものです。これは長年の懸案事項でしたが、昨年度理事会で決断され本年の総会で皆様方のご承認を頂いたものであります。
もう一つは、日本工学アカデミーが、2007年CAETS(国際工学アカデミー連合)の会長当番国となりますので、その責務を立派に果たすということであります。2007年10月23日から26日まで、東京新宿の京王プラザホテルで、第17回CAETS Convocationが開催されます。またCAETSでは、各国工学アカデミーの国内活動と情報交流に加え、国連と関連組織でのCAETSの存在感の確立及びCAETSメンバー国の拡大を戦略として掲げました。会長当番国として、リーダーシップを発揮していくことも含まれています。
先ずこの二つを立派にやり遂げたいと思いますので、皆様方の絶大なご支援とご協力をお願い致します。
ここで、この国際活動の底流をなす考え方を確認しておきたいと思います。 21世紀を迎えて、人類にとり「工学」が何にもまして重要な必須の知恵となってまいりました。それなのに、必ずしもこれが全世界のすべての人々に十分認識されているとは限りません。工学についての正しい理解と、これを人々の生存に活用しようとする意欲を世界中に普及させることが最重要だという信念だと思います。
そこで「工学とは何か、その社会における役割は何か」を、現実の社会と21世紀の未来予測に基づいて、もう一度考え直してみる必要があります。一例としまして、工学をある角度から眺めた私見を述べてみたいと思います。「量より質への転換」という考え方があります。平凡なものでも、量が一桁、二桁と増えると、質が変化して新しい事が起こったのと同じだという考えであります。産業界では、この様な例がたくさんあります。卑近なところで、自動車の値段が今より一桁、二桁と高ければ今日の自動車産業は存在しなかったでしょう。またフラット・ディスプレイの値段が一桁、二桁下がると生活や産業の構造が全く変わってくるに違いありません。
仮に100万の既存知識があったとしましょう。ここで、一つの新しい知識が発見されたとしても、これだけでは世の中は急には変わりません。新しい一つが、100万の既存知識と縦横に組み合わされて、特定の要望に対し有効になったとき、はじめて世の中は変わり始めるのです。この間に何万という新しい組み合わせの創造が行われ知識の質の転換が起こります。世間一般では、珍しさを求めるあまり、正しい実体を把握することを忘れがちです。工学は、現実をより正確に社会に伝えソリューションを提供します。
工学に関わる人々は、伝統的な組織に忠誠心を持つことから、それぞれの職業への忠誠心を持つことへと発展すべき時代となってきました。この研鑽の場の提供こそ日本工学アカデミーの最重要の使命と思います。今後、皆様方とともに前進することを大いに楽しみにしております。

(EAJ NEWS No.110 2006年6月)

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