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公益社団法人 日本工学アカデミー

日本工学アカデミーは、工学・科学技術全般の発展に寄与する目的で設立された産学官の指導的技術者の団体です

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会長からのメッセージ

会長 小林 喜光
日本工学アカデミーの理念を再確認する

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大が始まってから約2年半が経過しましたが、いまだ終息に至りません。デルタ株からオミクロン株への置き換わり、そしてBA.2系統などのより感染力の高い変異株の蔓延によって、感染者数はいまだに高い水準のままです。ただし暗いニュースばかりではありません。コロナワクチンに加えて治療薬の普及も進みつつあり、国産治療薬の承認に向けた動きも活発化しています。我々には、価値観の多様性を高めてイノベーションをさらに加速し、文理を超えた異分野連携をますます推進して社会実装の実現に貢献していく役目があります。
また昨年10~11月にはCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)が開催され、「グラスゴー気候合意」では温室効果ガスの排出削減対策のとられていない石炭火力発電の段階的削減へ努力するとされ、世界中でカーボンニュートラル実現を目指した機運が高まりました。しかし大変残念なことにIEA(国際エネルギー機関)が3月に発表した2021年のCO2排出量は363億トンで、過去最高値を示していました。これはコロナ禍からの景気回復に伴い、CO2を多く排出する石炭の消費が急増したからだといわれています。それに加えて今般のロシア政府によるウクライナ侵攻によって世界のエネルギー情勢が一変し、地球温暖化対策よりも目前のエネルギーの安定供給を優先する動きが強まってきています。侵攻によってEUの発電に占める石炭火力の比率が10%から13%に上昇し、それによって発電に伴うEUからのCO2排出量は4%増えるとの試算も出ています。このような時だからこそ、地球温暖化問題が人類の存亡に関わるグローバルアジェンダであることを我々一人ひとりが再認識し、今まで以上に真剣に取り組んでいく必要があります。
まさに世界は感染拡大・温暖化・戦争の三重の危機に直面しています。今般のウクライナへの軍事侵攻によって民主主義が危機に瀕しており、残念ながらグローバルガバナンスも後退してしまっているのが現状です。パンデミックや気候変動といったグローバルアジェンダについて、ボーダレスにしっかりと議論する場が今ほど必要な時はありません。
私はこのコロナ禍が始まる前まで人類は飢餓・疫病・戦争の3つをほぼ克服していたと思っていたのですが、いささか楽観的に見過ぎていたようです。むしろこれら3つに苛まれているのが現実です。まさに人類はこういった大変大きな問題に直面しているわけですが、我々は「人類の安寧とより良き生存のために、未来社会を工学する」という基本理念を改めて確認し、人類の明日を信じて、自らの役割に真剣に向き合ってそれぞれの使命を果たしていく必要があると思います。

2022年 6月 6日

(公社)日本工学アカデミー 会長

小林 喜光

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