未来の製造業の新しい考え方 -ナラティブものつくりの概念と可能性-
【開催趣旨】
多発する自然災害や新型コロナウィルスによるパンデミック,気候変動など,VUCA(Volatility〔不安定〕,Uncertainty〔不確実〕,Complexity〔複雑〕,Ambiguity〔曖昧〕)とも言われる,今まで経験したことがないような不確実で不透明な時代を迎えている。とりわけ,我が国では少子高齢化が急速に進展し,労働人口が減少している。このような情勢下で,未来の製造業をどのように描いて行くかが問われている。
この背景において,Society5.0やSDGsといった普遍的な中長期的目標を見据えながら,資源・環境に優しく,人々の幸せや喜びを与える新たなものつくりの方法論を構築し,国際競争力を維持発展することが望まれる。このためには,新たな視点として,製品やサービスの使い手の意識の奥に潜む,新たな幸せや喜びといった価値への想いを明らかにし,ものづくりにおける作り手の価値観や想いとぶつけ合って,使い手と作り手とが製品やシステム,サービスの価値を最大化,多様化する“和らかな場”の構築が大切になってくると思われる。
医療現場では,従来のエビデンスにもとづくアプローチだけでなく,患者が抱く情動,感情,想いなど,現時点で論理的に言い表せない(未論理的な)無形のもの,すなわち見えざる想いを顕在化して,医師がその解決策を提供する方法論として,先駆的に“ナラティブアプローチ”という手法が浸透し始めており,このような考え方は,製造業のあり方に大きな示唆を与える。ここで“ナラティブ”とは“語ること”を意味するが,従来のストーリーテリングではなく,言語によって経験を“意味づける行為”として一人ひとりが主体となって語るイメージを持つ言葉である。
本シンポジウムでは,上記の考え方をもとに,従来の無機質的なサイバーフィジカルシステム(Cyber-Physical-System)では非合理的なものとして抜け落ちがちな使い手の多様な価値観や思想(見えざる想い)を抽出、統合し,設計者等の作り手には気づきが得られ,使い手は自らの無形の価値観や思想との調和を図れるような,ものに付与される骨格としての本質的な魅力や意味の具現化を実現できる有効な考え方として,ナラティブ的な手法と最新のデジタル技術の連携による“ナラティブものつくり”という概念を提案し,多様な専門家の講演も交えて,考え方の理解と共通認識の議論を進めて行くための始まりとしたい。皆様のご参加をお待ちしております。
※ 詳細は こちら(PDF 350KB)をご覧ください。
【 プログラム 】
13:00 | 開会挨拶 | 中村道治 EAJ顧問 |
13:05 | 概要説明 | 佐々木直哉 ((株)日立製作所) |
13:15 | (講演1) 現状の課題と期待 | 中谷光男 (MAKErs SENSE(株)) |
13:35 | (講演2) ナラティブものつくりに向けた論点 | 善本哲夫 (立命館大学教授) |
13:55 | ~ 休憩 ~ | |
14:00 | (講演3) デザインとナラティブ | 山中俊治 (東京大学教授) |
14:20 | (講演4) 製造業とナラティブ | 西岡靖之 (法政大学教授) |
14:40 | (講演5) 社会や人とナラティブ | 持丸正明 (産総研人間拡張研究センター長) |
15:00 | ~ 休憩 ~ | |
15:10 | パネル討論 "ナラティブものつくりの可能性への期待" |
コーディネータ:佐々木直哉 ((株)日立製作所) 古川英光 (山形大学教授) |
15:55 | 閉会挨拶 |
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日時 | 2021年9月29日(水)13:00~16:00 | ||
場所 | 公開オンライン開催(Zoomミーティング、参加無料) | ||
参加申込 | お申込みはこちら(オンライン登録) | ||
※登録された参加者には、Zoom会議参加情報をお送りいたします。 | |||
問合せ先 | 公益社団法人 日本工学アカデミー事務局 TEL: 03-6811-0586 FAX: 03-6811-0587 E-mail: desk(at)eaj.or.jp |
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※ 未来の製造業プロジェクト